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野中佑基のリーダーシップ論(20) [リーダーシップ]

野中佑基
2.集団アイデンティティーの違いがLMXに及ぼす影響
 リーダー-メンバー関係とメンバーの集団アイデンティティーがリーダーシップの有効性に及ぼす影響を検討したところ、グループの人数が少ない条件(20人未満)においてのみ、有意傾向ながら仮説は支持された。集団アイデンティティーが低いメンバーのほうが高いメンバーよりもリーダー-メンバー関係の影響を受けやすく、関係が高質であるほうがリーダーシップの有効性の評価は高かった。グループの人数が少ないほうがリーダーとの1対1のコミュニケーションの機会が多く、リーダーの重要性が高くなり、集団アイデンティティーの顕在化に対する影響が強くなると考えられる。また、人数が少ない場合にはメンバー間の結束がより強くメンバー一人ひとりがグループに貢献する割合も大きいので、メンバー同士の関係や成果によって有効性を評価することができると思われる。一方で、グループの人数が多いとメンバー一人ひとりにおける割合が小さく、グループの目標や成果からの距離が遠くなるので、リーダーとの関係以外にリーダーシップの有効性を評価する要素が少なくなるのではないだろうか。また、対象集団がサークル・部活動なので、後輩や同期との関係のほうがリーダーよりも集団アイデンティティーに与える影響のほうが強くなると考えられ、グループの人数が少ない場合よりもリーダーとの関係はより区別してとらえられるのではないだろうか。そのため、グループの人数が少ない条件においてのみ仮説が支持されたものと考えられる。
以上、野中佑基のリーダーシップ論(20)でした。

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野中佑基のリーダーシップ論(19) [リーダーシップ]

野中佑基
考察
 リーダー-メンバーの交換関係の質がリーダーのリーダーシップの有効性に与える影響を、メンバーの関係的自己観が調整するかについて検討することが本研究の目的であった。そのため、大学生を対象に、部活・サークルにおけるリーダーのリーダーシップについて調査を行った。
1.リーダーシップの有効性におけるLMX理論と関係的自己観との関連性
 結果より、先行研究(Grean & Uhl-Bien, 1995)と同様に、リーダーシップの有効性においてLMXの主効果が認められた。リーダー‐メンバー関係が高質であるほうが、メンバーが感じるリーダーシップの有効性が高くなることが示された。この結果は、仮説1を支持するものである。
 関係的自己観とLMXの交互作用は認められず、仮説2は支持されなかった。この理由として、LMXとリーダーシップの有効性の相関が高く(r=0.55)関係的自己観による調整の余地がなかったことが考えられる。また、対象集団を部活動とサークルにしたため、これらの集団ではリーダーとの関係や意向よりも、メンバーとの関係のほうをより重視する可能性があると考えられる。
以上で野中佑基のリーダーシップ論(19)を終わります。

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野中佑基のリーダーシップ論(18) [リーダーシップ]

野中佑基
グループの人数低群では、LMX低群の主効果が有意であり(β=.62,p<.05)、LMXが低質であるメンバーのうち集団アイデンティティーが高いメンバーのほうが低いメン
バーよりも有効性の評価が高かった。また、交互作用が有意傾向であった(t(1,22)=-1.86,p<.10)。この交互作用について下位検定を行った(ΔR2=0.09, p<.10, 図1)。 集団アイデンティティー低群においてLMXの単純主効果が有意傾向であった(β=.60,p<.10)。集団アイデンティティーが低いメンバーのうちLMXが高質なメンバーのほうが低質よりもリーダーシップの有効性の評価が高かった。集団アイデンティティーが高いメンバーはLMXの質の違いによる影響を受けないのに対して、集団アイデンティティーが低いメンバーでは影響を受けることから、低いメンバーのほうが高いメンバーよりもLMXの影響を受けやすいと考えられる。これは仮説3を支持する結果となった。
グループの人数高群では、LMX(t(1,22)=1.69, n.s.)、集団アイデンティティー(t(1,22)=0.88, n.s.)交互作用(t(1,22)= 0.72, n.s.)とも有意ではなく、LMXや集団アイデンティティーの違いによるリーダーシップの有効性の評価に違いは見られなかった。
以上で野中佑基のリーダーシップ論(18)を終わります。

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野中佑基のリーダーシップ論(17) [リーダーシップ]

野中佑基
次に、リーダーシップの有効性を従属変数とするLMX(高群・低群)×相互独立的自己観(高群・低群)及びLMX×相互協調的自己観(高群・低群)の1変量2要因の分散分析を行った。どちらもLMXの主効果のみ有意であった(表3・4)。
 相互独立的自己観および相互協調的自己観の両方を独立変数とした場合においても交互作用は有意ではなかったため、自己観の影響力の検討は行えなかった。
3.仮説3の検証
 メンバーの集団アイデンティティーの程度によって、リーダー-メンバー関係の効果に影響が出るのかどうかを検討する。なお、リーダーが率いているメンバーの数の大小によっても影響を与えると考えられるため、3要因の影響を検討する。その際、3要因の分散分析を行うと、1セルあたりの実験参加者の人数に偏りが生じてしまうため重回帰分析によって検討する。
 LMX、集団アイデンティティーとリーダーが率いているメンバーを中心化した。また、これらの変数の交互作用項を作成した。リーダーシップの有効性の得点を基準変数として階層的重回帰分析を行った。Step1にLMX、集団アイデンティティー、グループの人数を、Step2に2要因の交互作用項を、Step3に3要因の交互作用項を説明変数として投入した。その結果、3要因の交互作用が有意であった(β=.86,p<.05, ΔR2=0.10, p<.05)。グループの人数を中央値(20.01)を境に高群と低群にわけ、それぞれStep1にLMX、集団アイデンティティー、Step2にそれらの交互作用を投入した階層的重回帰分析を行った。
以上で野中佑基のリーダーシップ論(17)を終わります。

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野中佑基のリーダーシップ論(16) [リーダーシップ]

野中佑基
また研究1では、グループの人数も扱う。これは、実験参加者に思い浮かべてもらったリーダーが直接率いているメンバーの人数のことである。100人以上と回答していた14人の回答については、外れ値とみなし除外した。サークルもしくは部活動について回答した参加者を分析対象とした。
2.仮説1・2の検証
 リーダーシップの有効性を従属変数とするLMX(高群・低群)×関係的自己観(高群・低群)の1変量2要因分散分析を実施した(表3・4)。LMXの主効果が有意であり、高群のほうが低群よりもリーダーシップの有効性評価が高かった。これはリーダー-メンバー関係が高質であるほうが低質であるよりも、リーダーシップの有効性を高く評価することを示しており、仮説1は支持された。交互作用は有意ではなく、LMXと関係的自己観との関連は見られなかったため、仮説2は支持されなかった。また、下位因子であるリーダーシップ満足度と追加的努力を従属変数として同様の分析を行った。追加的努力においてLMXの主効果が有意であり、高群のほうが低群よりも追加的努力の得点が高く、追加的な努力をリーダーから促されると感じる程度が高かった。
以上野中佑基のリーダーシップ論(16)でした。

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野中佑基のリーダーシップ論(15) [リーダーシップ]

野中佑基
結果
1.予備的検討
 LMX測定尺度、集団アイデンティティー尺度、関係的自己観尺度および相互独立的-相互協調的自己観尺度については、既存の因子構造の信頼性が十分に高かったため、それに従い各尺度の平均値、標準偏差、中央値を算出した(表1)。リーダーシップの有効性尺度についても既存の構造に従い信頼性を検討したが十分数値が得られなかったため、主因子法・プロマックス回転による因子分析を行った。その結果、「リーダーはあなたに、あなたの「自分の期待」以上のことをさせようとする」の項目の共通性が著しく低かった(0.06)ため、これを除いて1因子で扱うことにし、残りの7項目の平均値、標準偏差、中央値を算出した。尺度間相関は表2にまとめた。
表1 各尺度の記述統計値および信頼性

注1 LMX、関係的自己観、リーダーシップの有効性、集団アイデンティティーは5件、相互独立的自己
観、相互協調的自己観は7件法であった。
注2 グループの人数は、思い浮かべてもらったリーダーが率いている人数を回答してもらい、そのうち
   100人未満の回答についての記述統計値である(単位:人)。

以上野中佑基のリーダーシップ論(15)でした。


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野中佑基のリーダーシップ論(14) [リーダーシップ]

野中佑基
(6)関係的-相互依存的自己観尺度
Relational-Interdependent Self-construal(RISC)測定尺度(Cross et al., 2000)の邦訳版を用いた。「私の親密な関係(家族・親友・恋人など)は、私自身を映し出す重要な存在である」など10項目5件法(1=あてはまらない、5=あてはまる)で回答してもらった。
(7)思い浮かべた組織について
どのような組織を思い浮かべたかについて次の各項目について解答を求めた。
aサークル・バイト等いずれの組織について回答したか、b組織の人数、c組織での役職・役割、d周囲のメンバーの活動への参加頻度、e活動参加への強制度、f規則・ルールの存在の程度、g規則・ルールを遵守することに対する厳しさ。a,cは選択式、bは自由記入形式、d,e,f,gは5件法(得点が高いほどその項目の度合いが強い)で回答してもらった。
(8)思い浮かべたリーダーについて
どのようなリーダーを思い浮かべたかについて次の各項目について解答を求めた。
aどの役職・役割にあるリーダーについて解答したか、bリーダーとの関係、cリーダーが率いているメンバーの数、dリーダーとの関係期間、eリーダーの権限の強さ、fリーダーが負っている責任の強さ。
a,b,dは選択式、cは自由記入形式、e,fは5件法(1=全く無い、5=非常に強い)で回答してもらった。
以上、野中佑基のリーダーシップ論(14)でした。

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野中佑基のリーダーシップ論(13) [リーダーシップ]

野中佑基
(3)リーダーシップの有効性測定尺度
Bass and Avolio(1997)のMultifactorial Leadership Questionnaire(MLQ)を邦訳して用いて測定した。次の3つの下位概念からなる計8項目について5件法(1=あてはまらない、5=あてはまる)で回答してもらった。リーダーシップの満足度 (2項目、例:リーダーは満足できるリーダーシップを発揮している)・リーダーシップの有効性 (3項目、例:リーダーは集団を効果的に率いている)・追加的な努力を促す動機づけ(3項目、例:リーダーはあなたを「より成功したい」という気持ちにさせる)
(4)集団同一視測定尺度
Karasawa(1991)による集団同一視尺度の7項目版を用いて、「「あなたは典型的なこの組織の人だね」と言われたら、よい感じがしますか、それとも、悪い感じがしますか?」などの項目について5件法(1=非常に悪い感じ、5=非常に適切である;得点が高いほうが集団同一視の程度が高い)で回答してもらった。
(5)相互独立的-相互協調的自己観尺度
高田(2000)による相互独立的―相互協調的自己観尺度を用いた。相互独立性は「常に自分自身の意見をもつようにしている」など10項目、相互協調性は「人が自分をどう思っているかを気にする」など10項目からなる計20項目で構成され、7件法(1=全く当てはまらない、7=非常にあてはまる)で回答してもらった。
以上野中佑基のリーダーシップ論(13)でした。

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野中佑基のリーダーシップ論(12) [リーダーシップ]

野中佑基
方法
実験参加者
国立大学に通う日本人大学生78名(男性34名/女性42名/未記入2名)で、平均年齢は20.5歳(SD=1.15)であった。
手続き
講義授業時間内やサークル、部活の活動時間内に質問紙を配布して解答してもらった。匿名性を保って行った。
質問紙の構成
(1)リーダーの特定
質問紙の第1ページで、回答するリーダーを選定してもらった。最も頻繁に参加している組織(部活・サークル・アルバイト・学科)を1つ選んだ上で、直属のリーダーを特定してもらった。直属のリーダーとは、階層的な組織ではない場合は部長などのトップリーダーを、階層的な組織(チームに分かれているなど)で回答者が特に役職についていない場合はチームリーダーを、階層的な組織で、参加者がチームリーダーである場合にはトップリーダーを意味することとした。なお、参加者がトップリーダーの場合は調査の対象とはしなかった。
(2)LMX関係測定尺度
LMX7(Graen & Uhl-Bien,1995)を用いた。この尺度の日本語版(松原,1998)を参考に上司や部下といった単語を、サークルや部活動向けにリーダーやメンバーといった単語に変えて使用した。「あなたのリーダーは、あなたの活動上の問題や必要性をどのくらいよく理解していると思いますか」など7項目について尋ねた(1=全く理解していない、5=とてもよく理解している)。
以上野中佑基でした。

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野中佑基のリーダーシップ論(11) [リーダーシップ]

野中佑基
これらのことを踏まえて、集団アイデンティティーとリーダー-メンバー関係がリーダーシップの有効性に及ぼす影響も併せて検討する。
目的
 以上より、本研究では、リーダー―メンバー関係とメンバーの関係的自己観がリーダーシップの有効性に与える影響を検討する。また、研究1では、追加でリーダー―メンバー関係と集団アイデンティティー、相互独立的自己観および相互協調的自己観とリーダー―メンバー関係との関連についても検討する。
仮説
1.リーダーと高質なLMX関係にあるメンバーのほうが、高質でないLMX関係にあるメンバーよりもリーダーシップの有効性を高く評価するだろう。
2.リーダーと高質なLMX関係にあるメンバーのうち、関係的自己観を高く持っている人のほうが低い人よりもリーダーシップの有効性を高く評価するだろう。
3.集団アイデンティティーが低いメンバーのほうが高いメンバーよりも、LMX関係の質の違いによるリーダーシップの有効性の評価の差が大きくなるだろう。
以上の野中佑基のリーダーシップ論(11)でした。

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